第1回 即時抗告審(2016.1.20)

川内原発稼働差止仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件の第1回目の審尋が開かれました。

最初に抗告人(住民側)より被害論について、それに対して九電側が安全対策について30分づつプレゼンを行いました。
 抗告人側は福島の事故で実際に起こったこと、現在も進行形であることを説明し、地裁での決定は「大規模噴火が起これば住民は皆死ぬので原発は関係ない」 といった内容があったがそれは間違いで数ヶ月から数年すれば復興し住民は戻れる。しかし火砕流により原発が被害をうけ大量の放射性物質が放出されれば復興 もできない、などを主張しました。
これに対して九電側は、「万が一事故が起きても事前に感知し万全の対策がとれる」と30年前に聞いたようなことを壊れたテープレコーダーのように繰り返 し、まるで福島で事故は起きてないような主張でプレゼンというより、広告を聞いているようでした。具体的な人の配置や過酷事故に対する対策など(裁判所か らも求められていた事柄です)の説明はありませんでした。

 次に、九電側から地震動についてのプレゼンが前半後半とお昼をはさんで行われました。
 その後、抗告人側から新規制基準についての専門家によるプレゼン、続けて地震動のプレゼンが行われました。

先ずは佐藤暁先生による「川内原子力発電所に対する安全審査の非保守性、および真相防護の国際的水準未満の問題点」についてのプレゼン。地震、火山、過酷 事故の評価についての非保守性について欧米諸国のデータをもとに比較され、いかに日本の新規制基準が劣っているかを説明されました。例えば、火山の噴火一 つとっても、火山灰の降灰1kg/㎢(1㎜)で飛行場閉鎖、送電網に障害が出ることが分かっているのに、九電側が15cmでも対応できると言うのはおかしい、また建屋の屋根に対する強度評価の甘さなど。
 次に弁護士から地震動について我々の主張の重要な点について簡潔にまとめたプレゼンを行い、具体的な詳しい内容について、長沢啓行先生に説明していただきました。専門的なことについてはもちろんですが、例えば「ひずみ速度について、20年前からこれまでの科学の進歩などを考慮されていない。たかだか4年 程度のデータから得たひずみ速度から地震が起こらないというのは大きなかん違い。何千年をかけて動いたひずみをみなければならない。過去20年のデータしか使われていないのは問題でこれから起きる地震を想定すべき。」など私にも分かる言葉で説明をされました。
その後、2名の弁護士により「断層調査の限界〜分からないものをないものとしているのが九電側の主張である」「松田式とは平均像。マグニチュードの平均値 を出すもの。平均なので超えるものも現実ある。データの数が少ない。」「『超過確率』という言葉のまやかしについて」などのプレゼンが行われました。
 最後に行う予定だった抗告人側の避難計画は、予定のスケジュールの時間をオーバーしため次回29日に延期されました。
よって29日は12時45分からの開廷に変更されました。

抗告人(債権者)や抗告代理人弁護士はもちろんですが、専門家の先生方、またこの裁判を支えて下さっている多くのみなさまの応援や支えのおかげで裁判を闘うことができます。
今後ともお力添えをどうかよろしくお願い致します!

2016年1月20日(水) 10時〜17時 
福岡高裁宮崎支部

30分/抗告人 被害論(福島第一原発事故を踏まえて)
30分/被抗告人 原発事故が発生した際の各システムの安全性の確保について
5分/休憩
60分/被抗告人 地震動に関する説明(前半)
ーーー昼休憩ーーー
60分/被抗告人 地震動に関する説明(後半)
5分/休憩
60分/抗告人 専門家佐藤暁氏による新規制基準に関する説明
90分/抗告人 地震動に関する説明(弁護士)、専門家長沢啓行氏による基準時震動に関する説明
5分/休憩
30分/抗告人 避難計画について
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終了後、宮崎中央法律事務所にて記者会見